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between anthropology, primatology and management of technology

2017年に読んで面白かった本

気がついたら2017年も終わりに近づいている。今年読んだ本は計37冊(10日に1冊のペース)。2016年は80冊近く読んでいたので、だいぶ読書量が減ってしまった1年だった。本記事では今年読んだ本の中でもとりわけ面白かった本を幾つか紹介する。

【小説】

小説の中で一番印象に残っているのは、恩田陸の「蜜蜂と遠雷」。ピアノコンクールを通じて少年・少女が成長する姿が描かれている。恩田陸がよく書くタイプの典型的なストーリーではあるが、個々のキャラクターが魅力的なのと、私自身がピアノをやっていた事もあり、各シーンのイメージが湧きやすい物語だった。かなり売れているようなので、来年あたり映画/アニメ化されてもおかしくないと思う。

蜜蜂と遠雷

蜜蜂と遠雷

 

二番目は森博嗣のWシリーズ。「ウォーカロン」と呼ばれる自律型ヒューマノイドを中心とした物語。こちらも個々のキャラ(特に主人公)が特徴立っているのと、ストーリー全体を通じて「人間の定義(人間とウォーカロンの違い)」について問うている点で、読み応えのある小説となっている。

最後はケン・リュウの短編集「母の記憶に」。 個人的には前作の「紙の動物園」の方が好きだったが、「母の記憶に」も前作同様しっとりとした(?)SFに仕上がっている印象だった。

母の記憶に (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

母の記憶に (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

 

【ビジネス書】

コンサルタントの書く本は基本的に当たり外れが大きいと認識しているが、IGPIの木村尚敬氏の「ダークサイド・スキル」は珍しく印象に残る本だった。若手よりもミドル・マネージャー向けの本だと思うが、何度も読み返す価値のある本だと思う。

ダークサイド・スキル 本当に戦えるリーダーになる7つの裏技

ダークサイド・スキル 本当に戦えるリーダーになる7つの裏技

 

ビジネス書に含めて良いかどうかはグレーだが、下記の「発信型英語 類語使い分けマップ」もなかなか面白かった。例えば「(相場等が)上昇する」という単語一つにとっても、上がり方によって複数の単語が存在しており、どういう時にどう使い分けるか、というのが丁寧に説明されている。読み物というよりは辞書的に使うのが正しいのかもしれない。

発信型英語 類語使い分けマップ

発信型英語 類語使い分けマップ

 

【ノンフィクション】

ノンフィクションの中で一番印象に残ったのは、名著と名高い「コンテナ物語」。現在当たり前に使われているコンテナが、どのような手順を踏んで普及していったかが書かれている。 特に、元々荷物を運んでいた荷役を置き換えていく部分と、コンテナの規格化の部分は、コンテナに限らず、新しい技術が普及する際に直面する普遍的な壁を描いているように思う。

コンテナ物語

コンテナ物語

 

後輩におすすめされて読んだ本。一見自己啓発本のようなタイトルだが、内容はどちらかというと心理学の分野に近い。自分が意思決定を行うプロセス・シチュエーションに照らし合わせながら読むと、「あ、これは自分もハマりがちだな」というのがわかって面白い。

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか

 

 以上の7冊が今年読んで面白かった本だった。来年はもう少しノンフィクション(特に歴史系)の分野を開拓出来たらなと思う。積読本も消化できますように。

大人になってからピアノを再開してみた話

社会人生活でずっとやりたかった事の一つがピアノだった。合計7~8年(小2~小6、中3~高2)しか習っていなかったが、中高で弦楽団に入っていたこともあり、人生の中で"音楽"が占めるウェイトはそれなりに大きかったと思う。ブランクが8年ほどあった後、2017年2月頃に電子ピアノを購入してから再びピアノを始めたので、その遍歴をまとめてみる。

【ピアノ選び】

ピアノを再開する人にとって一番難しいのがピアノ選びではなかろうか。早く帰れる人や防音室に住んでいる人であれば時間を選ばずに練習できるが、たいていの社会人は夜遅くor週末のみしか練習する時間が取れない。一人暮らしであればピアノを置くスペースも制限される。そんな中私は下記の条件でピアノを選んだ。

  • 20万円以内
  • 消音機能がついている
  • キータッチが生ピアノに近い

楽器屋で試奏しながら色々悩んだ結果、結局価格と性能のバランスが良かったRolandのDP603を購入した。価格はビッグカメラで約15万円だった記憶がある。ヘッドホンを付けて弾く分には音も悪くないし、キーの重さも調整可能である。尚、YAMAHAやKAWAI等のピアノメーカーの製品も見てみたが、20万円までの製品はいまいちだった記憶がある(予算の上限がもう少し上であれば、惹かれる製品は多かった)。

【曲選び】

曲のレベルは「あるピアニストの一生」というサイトの28段階難易度を参考にした。高校生で弾いていた曲のレベルは下記の通り。

ピアノを再開した頃は、前弾いていた曲と同等のレベルの曲(パスピエ)に挑戦しようとしたが、やはり無理があったのでもう少しレベルを下げる事にした。基礎練習としてハノンを弾いてから弾くようにしている。現在練習している曲のレベルは下記の通り。ブランクが数年あるなら、最後に弾いていた曲のレベルから4~5ぐらい引いたものから始めるのが良いのだろう。

ドビュッシーが多いが、本当はカプースチンなどに挑戦したいものである。

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2018年4月追記:ラフマニノフ「鐘」(レベル21)が弾けるようになったので、再開して一年半ぐらいで高校生ぐらいのレベルまで戻ってきたような気がする。

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2019年9月追記:上述したドビュッシー「版画(塔)」(レベル26)を発表会で弾く事になった。レッスンを受け始めて約2年、毎日30分〜1時間練習していたので、きちんと指導を受ければ、ある程度素養がある人は昔の感覚を取り戻せると思う。

【先生選び】

自分と合う先生と出会えるかはもはや運の領域だが、私の場合は「好きな作曲家・曲」が自分と近いか、を基準に選んだ。ベートーベンが好きな先生がカプースチンを弾かせてくれるとは到底思えないので。。

DMM英会話(プラスネイティブプラン)の感想と効果的な使い方

また前回の投稿から時間が経ってしまった。今日の記事では、3週間ほど前から始めたDMM英会話のプラスネイティブプランの感想をまとめる。

現在の英語力とDMM英会話(プラスネイティブプラン)を選んだ経緯

そもそもの背景から始めると、自分の中途半端な英語力の改善というのが、英会話を始めようと思ったきっかけであった。現在の英語力として、海外在住・留学経験はないものの、少し特殊な環境で育ったため、ベーシックな英語力は一般的な水準よりも高いレベル(TOEIC900点越え/発音も帰国子女にたまに間違われる)にあった。

しかし、英語圏で教育を受けていないことに加え、普段業務で全く英語を使用しない(≒ビジネス英語におけるお作法を目にする機会がない)ため、教養があるネイティブと仕事をするのは難しいだろうなと感じていた。昨年の海外勤務により更に危機感を高めていたのに加え、最近海外出張の話が浮上してきて、急遽英会話を始める事になった次第である。

そんなわけで英会話スクールを探す事にしたのだが、スクールを選ぶにあたって私が優先した条件は「①ネイティブ講師」「②長く続けられる価格設定」の2つであった。

①については、賛否両論あるし、個人のレベルにもよるが、私の場合は「ネイティブ特有の表現を理解し、自分で使えるようになる」というのが英語学習の目標としてあったため、優先度が高くなった。②については、「英語上達の秘訣は細く長く続ける事」という個人的な信条の下、月々の費用は1~2万円程度に抑えたい、かつなるべく多く話したいという思いがあった。例えば私が過去に通っていたGABAの場合、40レッスン(1レッスン40分)で30万円程度であり、短期間で集中的に底上げをしたい人は向いているものの、私のように細く長く続けたい場合は、金銭的に難しい印象を受けた。 

上記2つの条件を踏まえ、複数の英会話スクールの中から、最終的に月額15,800円(1日1レッスン/25分)でネイティブ講師と話せるDMM英会話を選ぶ事になった。ちなみにネイティブに限らないプランの場合、同額で1日3レッスンまで受けられるプランが選べるため、ネイティブにこだわらない場合はそちらのプランも良いと思う。

DMM英会話(プラスネイティブプラン)の感想と効果的な使い方

さて、3週間ほぼ毎日レッスンを受けてみての感想は「悪くないが、本気で上達を目指すにはかなり自助努力が必要」という感じである(英会話全般に言える話だが、、)。

まず、よく懸念される「そもそも予約が取れないのではないか」という点だが、これについては現時点では解消されているようである。ネイティブ圏として、米国、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド南アフリカの6ヵ国が設定されており、私の場合は訛りの少ない米国・カナダ・イギリスに絞って講師を選択するようにしているが、1日前から予約する分には特に問題なく講師の予約ができる(直前だと厳しい)。

次に講師の質についてだが、これはかなりバラつきがあるように感じる。競合サービスのレアジョブを過去に受講していた際は、レッスン中の単語や表現などを比較的丁寧にフィードバックしてくれる印象だったが、今回のDMMの場合は、漫然と会話をしておしまいという事も少なくなく、特にネイティブ講師にその傾向が強いように感じられる。あと、ネイティブ講師の場合は何故か僻地に住んでいるケースも多く(脱サラ?)、たまに通信状況が悪いというのも隠れた弊害かもしれない。。

これらを踏まえて、プラスネイティブプランの効果的な使い方を挙げるとすれば、①積極的に講師の表現を”盗む”②ディスカッションパートにおいて自分が言いたい内容の英文をあらかじめ作っておく(瞬発力を上げたい場合は別)、③わからなかった単語は講師に頼らず自分でメモする、という所だろうか。

書いてみるとどれも当たり前なのだけど、私自身を含め「英会話を受講している事そのもの」に満足して終わっている人が多い気がしている。特に②について、その場でなんとなく質問に答えられはしても、後から思い返してみると表現が稚拙だったりすることが私の場合は多々あるので、あらかじめセンテンスを考える中で、洗練された表現を増やしていくというのは有効かと思う。

始めて2ヶ月後ぐらいのタイミングで、効果測定も兼ねて追記したい。