What drives me.

between anthropology, primatology and management of technology

ベビーカーにおけるinnovation

「動物園が趣味」と言うと怪訝な顔をされるが、気が付くと動物園にいるのだからしょうがない。昨日は動物よりも人間の数が多かったため、仕方がなく人間(主に親子連れ)を眺めていたのだが、皆ごりごりとベビーカーを押しながら坂を登っていく。少子化で子供一人あたりにかけられる金額が上がっている今こそ、ハイテクな製品が出てきても良いはずなのに、巷で見かけるベビーカーの外観は20年前とさほど変わっていない。オシャレな電動車椅子[*1]よりも電動ベビーカーの方が売れるのではないか、と思って調べていたら案の定色々出てきたのでまとめてみた。


Volkswagen Stroller

一番驚いたのはVolkswagenの開発品。自動運転周りの技術がまるごとつめ込まれているのか、自動走行・自動追尾・自動ブレーキがかなりの精度で実装されている。ジョギングしている父親の後をベビーカーが追尾するのはなかなかシュール(残念ながら発売未定)。


Meet the 4moms origami

次は4momsが開発した「4moms Stroller」。ボタン一つでベビーカーが開閉する。液晶画面も付いているしiPhoneだって充電できる。走行中に発電するので充電も不要。どうでも良い機能だが個人的にはPeek-a-Boo Window(いないいないばあができるメッシュ窓)が好きだ。お値段は15万円(実売価格は約10万円、高級ベビーカーの1.5倍程度)。ベビーカーの自動開閉機能がどれくらい役に立つのかがわからないが、そこそこ売れているようだし、ハイテクベビーカーという観点ではなかなか良い線を行っている気がする。

最後はMyoTronicの電動アシストベビーカー。ベビーカーにモーターが付いているという、私がイメージしていたものに一番近いデザイン。Red Dot Design Awardを2011年に獲得している事から、海外での評価は高そう。価格は4momsと同程度の15万円。電動自転車の価格が10万円である事を踏まえると若干高い気もするが、7~8万円台で出せればかなり売れる気がする(ちなみに坂とセレブが多い私の居住区では、視界に入るほぼ全ての主婦が電動自転車に乗っている)。

乳幼児の場合、大人や高齢者と違って乗り心地等のユーザビリティを検証するのが難しそうだけれど、親視点から見るとまだまだアンメットニーズは多そうなので、Volkswagenみたいな自動車メーカーがある日参入して市場をかっさらっていく、のかもしれない。

[追記]後で気になってベビーカーの選び方について調べてみたら、ベビーカーにはA型(首が座っていない生後数か月の幼児用)とB型(生後半年~2歳)の2種類があり、生後半年間は抱っこ紐でしのいだ後に、軽くて運びやすく安価なB型を購入する場合が多いらしい。という事は(重くて持ち運びにくく高価な)電動ベビーカーが日の目を見る日は遠いのだろうか…。

[*1]WHILL: 日産・ソニー出身のエンジニアが開発した電動車椅子。非常にスタイリッシュなデザインだが価格は約100万円。